2011-02-19から1日間の記事一覧

H.J.アイゼンク『精神分析に別れを告げよう――フロイト帝国の衰退と没落』(宮内勝 他 訳)

自然寛解がよく起こることからも分かるように、患者はいずれよくなるので、患者はその改善を治療のおかげと思い、治療者もおなじように考えます。治療と改善には何の関係もないのですが。この満足のゆく状態が達成されると、患者は「治癒」したとして片づけ…

ブルーノ・タウト『日本文化私観』(森トシ郎 訳)

日本は、ある小さな対象の中に宇宙全体を包含せしめることが、最も大切なことであるということを教えてくれている。この対象物は、その実用を生かしている完全な美しさによって、それを取り扱う人間の性向をも包蔵するものである。この小さい物品は全然独立…

アウエルバッハ『ミメーシス』(篠田一士・川村二郎 訳)

というのは、人間に恐ろしい行為をする可能性があるならば、恐ろしい行為はいつもそれとは正反対のものを生み出しているわけで、つまり、残虐な事件の起きる時代には、人間の魂の雄々しい生命力もまた発揮されているということも――すなわち、愛情、犠牲、信…