2013-05-31から1日間の記事一覧

夏目漱石『草枕』

文明はあらゆる限りの手段をつくして、個性を発達せしめたる後、あらゆる限りの方法によって此(この)個性を踏み付け様(よう)とする。

芥川龍之介『耳目記』

僕等の性格は不思議にもたいてい頸(くび)すじの線に現れている。

『甲陽軍鑑』

八分の勝(かち)は、危(あやう)し。九分十分の勝は、味方大負(おおまけ)の下作(したつくり)也。 *「弓箭の儀、勝負の事、十分を、六分七分の勝は十分の勝なり」という武田信玄の言葉の後での、その理由を述べた部分である。大勝の後の油断が命取りになるのを…

マルキ・ド・サド「ソドム百二十日」(澁澤龍彦 訳)

自然の乱脈というものは、自然がもっとも手ひどく害われている時においてさえ、なおかつ依然として崇高でありうるものである。さらにまた、ついでに言ってしまえば、罪悪というものは、よしんば美徳のなかに発見されるような上品さというものを有っていない…

マルキ・ド・サド「ソドム百二十日」(澁澤龍彦 訳)

「しかし、わたしくらいの年齢で、わたしのような考え方をしている人間は、そんなことで躊躇逡巡するものではありません。まさかわたしが女を情婦にする気でいるなどと、お考えになっているわけではありますまいね? さよう、わたしは自分の気紛れに奉仕させ…