2015-07-15から1日間の記事一覧

渡辺利夫『神経症の時代――わが内なる森田正馬』

思えば、神経症者とは、今を生きることを放棄して、過去の改悛と未来への不安におののき、それにとらわれてしまった人たちではないのか。症者の多くは、もう終わってしまった過去に対して、あのとき自分は赤面したから友人から変に思われたのではないか、友…

渡辺利夫『神経症の時代――わが内なる森田正馬』

人間の心身機能の発揚は、子供にあっては遊びであり、長じるにともなって仕事に移る。人間はこの世に生を受けて以来、厳しい現実のなかでその生を営々とつむいできた。それを可能ならしめたものは、仕事である。仕事によって環境を自己の生存維持のために変…

渡辺利夫『神経症の時代――わが内なる森田正馬』

神経質な人びとが自己をとかく内省的、批判的にみつめるのは、彼らが向上発展欲において強いからである。向上発展を強く求めるがゆえに、それを妨げる可能性のある身体的、精神的な病覚に関心をもたざるをえず、実際には異常ではないにもかかわらず、これに…