2015-12-04から1日間の記事一覧

谷川俊太郎「空の噓」

空があるので鳥は嬉しげに飛んでいる 鳥が飛ぶので空は喜んでひろがっている 人がひとりで空を見上げる時 誰が人のために何かをしてくれるだろう 飛行機はまるで空をはずかしめようとするかのように 空の背中までもあばいてゆく そして空のすべてを見た時に …

クロード・シモン『フランドルへの道』(平岡篤頼 訳)

というわけでもしかしたら彼女が彼のうちに道具(いわば男根のかたちをした陽物神的なちょうどあのなんといったかな日本の人妻たちが踵にしばりつけ、東洋人のいささかアクロバット的な性の技巧に特有の窮屈な姿勢でその上に坐り、それでわが身を裂き、彼女…

クロード・シモン『フランドルへの道』(平岡篤頼 訳)

そこでおれがいいかげんにしてくれ!そういって起きあがったが彼女がおれをなぐったのでベッドにひっくりかえってしまいなおも彼女はなぐりつづけ、おれのすぐそばの彼女の顔からなにかどくどくというような音彼女が懸命にこらえようとする音が聞こえたしか…