2015-12-07から1日間の記事一覧

谷川俊太郎『愛について』「私の言葉2」

私のうそへ私は行き 私のうそから私は帰る 沈黙が私とうそとを距てる時 枕が固すぎて私は眠れぬ夜をすごす 花が私のうそを追いかけてくれる時 私のうそを私は撲(う)つ 愛が私のうそに背を向ける時 私は小さなpenisyを連れてうろうろする 私が黙って夜空を私…

クロード・シモン『アカシア』(平岡篤頼 訳)

……というわけでやっと、今度は彼女が絵葉書を送るようになったのだったが、それまで一度もバルセロナ、パリ、あるいはボルドーよりそれほど遠くへ行ったことがなく、離郷や興奮や異国趣味に関していえば、シャンティイのパドックや闘牛の試合やオペラ座の夜…

クロード・シモン『アカシア』(平岡篤頼 訳)

彼女は清純だったのではなくて、いわば性がなかったのだった。それはまるで、彼女のキャミゾール風ドレスがかくしている雪のように白い腹と、その下で太腿が左右に分かれているあたりのすべすべした茂みの秘めているものが、消化吸収と排泄という生理的機能…