津覇実明「日本国憲法のために 沖縄をテクストとして」(「現代思想1999年2月号 特集 部落民とは誰か」所収)

 「平和」「平等」を旨としながら、実は「差別」を発動するものとしての憲法に終止符を打つこと。あるいは、憲法の生命維持装置を外すこと。それは憲法の死=廃棄を意味しないことに注意して欲しい。逆である。それは憲法の自力呼吸を可能とするような再生である。「国民主権」を宣言しながら、それ自体が全く国民主権的でない起源を有する憲法をもってしまった不幸を幸福に転ずるには、ルサンチマンとして生きるのであってはならない。もっと憲法を乗っ取るべきなのだ。同じフネでも戦艦にもなれば遊覧船にもなる。