ゴンブローヴィッチ『フェルディドゥルケ』(米川和夫 訳)

 それから、筆者は繰り返しによって緊張を高める方法もまた読者にすすめたい。ある言葉なり、言い回しなり、状況なり、もしくは部分なりを組織的に繰り返すというこの方法のおかげで、筆者は、ほとんど偏執狂じみてくるまでにスタイルの統一性という印象を強めながら、同時に、作品の緊張度を高めることができるのだ。繰り返し、この繰り返しによって、もっとも容易にいっさいの神話は作りあげられる!