2015-05-22 宮本輝「道頓堀川」 孫引き引用 三本足の犬が、通行人の足元を縫って歩いてきた。耳の垂れた、目も鼻も薄茶色の痩せた赤犬だった。/まだ人通りもまばらな戎橋を南から北へと渡りきると、犬は歩を停めてうしろを振り返った。