セリーヌ『なしくずしの死』(滝田文彦 訳)

 わたしは嵐がもっともっと荒れまくり、家々の屋根が崩れ、春がもう帰ってこず、この家が消え失せればいいと思う。
 ベランジュ婆さんは知っていた、悲しいことはみんな手紙でやって来るのを。わたしはもう誰に手紙を書いていいかわからない。連中はみんな遠くにいる…… やつらの魂は変った、裏切り方、忘れ方がうまくなり、いつもほかのことをしゃべっていられるように……