ワレンチン・ミハルコーヴィチ「映像のエネルギー」(西周成 訳)(アネッタ・ミハイロヴナ・サンドレル 編、沼野充義 監修『タルコフスキーの世界』所収)

タルコフスキーにおいて雨は特に重要な、出来事の意味内容にとって本質的な瞬間に流れており、それゆえそれ自体本質的だと思われる。もしかしたら監督はそれに、古代中国の思想家達と同じ意味を込めたのかもしれない。彼らにとって雨は、「陰」と「陽」とを具象化するところの天と地との結合を意味していた。これらの結合は、古代中国の考え方に従えば、「巨大な創造的衝動であり、結局は世界創造の、実在の基礎を成している」、即ち現実を動的状態にし、それを内的エネルギーで満たしている。