2011-09-29から1日間の記事一覧

ウラジーミル・セドーフ「タルコフスキーとシェイクスピアの『ハムレット』」(井上徹 訳)(アネッタ・ミハイロヴナ・サンドレル 編、沼野充義 監修『タルコフスキーの世界』所収)

タルコフスキー 「そもそも、今日の演劇における方法論や俳優術には、私の見るところ、山のように問題がある。主として表現手段の美学に関わる問題だ。たとえば、役者が感情やあからさまな激情に身をゆだねることがよくある。何のためか。そういう感情にとら…

ウラジーミル・セドーフ「タルコフスキーとシェイクスピアの『ハムレット』」(井上徹 訳)(アネッタ・ミハイロヴナ・サンドレル 編、沼野充義 監修『タルコフスキーの世界』所収)

私の考えでは、彼は孤独を嫌い、ひとりでいるのを嫌っていたが、彼一流の皮肉とユーモアを込めて、一度ならずこんな名言を繰り返した――「孤独は個人の特権である」。

ウラジーミル・セドーフ「タルコフスキーとシェイクスピアの『ハムレット』」(井上徹 訳)(アネッタ・ミハイロヴナ・サンドレル 編、沼野充義 監修『タルコフスキーの世界』所収)

タルコフスキー 「私は俳優だったことは全然ないが、どんな場合でも第四の壁を壊して、具体的に客席の誰かに向かって何か言ったりしてはいけないと思う。そんなことをすれば、何かが駄目になる。それが何かはわからないが、何かが駄目になることは絶対はっき…

オクサナ・ムシエンコ「タルコフスキーと「存在の哲学」のイデア」(宇佐見森吉 訳)(アネッタ・ミハイロヴナ・サンドレル 編、沼野充義 監修『タルコフスキーの世界』所収)

タルコフスキーはしばしば、自分の主人公は弱い人間であると語った。だが彼の言う弱い人間たちは責任を逃れることも、他人に押しつけることもせず、自分が世界の一員であること、世界に責任を負っていることを自覚しながら生きている。タルコフスキーの「弱…

ワレンチン・ミハルコーヴィチ「映像のエネルギー」(西周成 訳)(アネッタ・ミハイロヴナ・サンドレル 編、沼野充義 監修『タルコフスキーの世界』所収)

タルコフスキーにおいて雨は特に重要な、出来事の意味内容にとって本質的な瞬間に流れており、それゆえそれ自体本質的だと思われる。もしかしたら監督はそれに、古代中国の思想家達と同じ意味を込めたのかもしれない。彼らにとって雨は、「陰」と「陽」とを…