山本七平『「空気」の研究』あとがき

現代でも抵抗がないわけではない。だが「水を差す」という通常性的空気排除の原則は結局、同根の別作用による空気の転位であっても抵抗ではない。従って別「空気」への転位への抵抗が、現「空気」の維持・持続の強要という形で表われ、それが逆に空気支配の正当化を生むという悪循環を招来した。従って今では空気への抵抗そのものが罪悪視されるに至っている。