E・F・ロフタス+K・ケッチャム『抑圧された記憶の神話――偽りの性的虐待の記憶をめぐって』(仲真紀子 訳)

認知心理学者は、イメージに熱中しすぎると現実と想像の区別が難しくなることを知っている。また法心理学者は、誘導されたイメージは催眠で生じるのと似た解離的な症状を促進する――つまりイメージは催眠同様、記憶を回復する方法としては信頼できない――ことを確認している。
 つまり、物語を作るということは、イメージした出来事を実際の出来事と取り違えるという、重大なリスクを生じさせることになる。人は自分で作った話を信じてしまいかねないのだ。