デフォー『ロビンソン・クルーソー』(平井正穂 訳)

私の今までの境涯は、人間誰しもかかりやすい例の業病にみまわれた人々へのみせしめであった。思うに人間の不幸の半分は、じつにこの業病に発するといってもよかった。つまり、それは、人間が神と自然が定めた境遇に満足できないということ、まさしくこのことにほかならないと思うのである。