安岡章太郎『僕の昭和史』

たしかに、戦争や敗戦が大きな共通体験であったことは間違いないが、その部分部分を取り上げて、おたがいに語り合おうとすると、同じ学年上りの〝戦中派〟同士でも学年のちょっとした違いから、話がまったく嚙み合わなくなって、いったい何が共通体験かと思うようになる。