蓮實重彦+武満徹『シネマの快楽』

蓮實 ゴダールの圧倒的な面白さは、いつでも共通語に対する地方語、標準語に対する方言として映画を撮っているという姿勢にあると思うんです。それじゃどこの方言かというと、これが必ずしも明確じゃない。〈ゴダール〉という特定の地方をあらかじめ想定していると、それからも逸脱する不安定な細部がちりばめられている。