2011-03-31から1日間の記事一覧

蓮實重彦+武満徹『シネマの快楽』

蓮實 ぼくの考えだと、視線の演出をしていると、どうしても扉から入ってくるというところがキイになっちゃうと思うんですよ。ふっと振り返るとか、知らない間にそこに入ってくるとか。ところが、今みたいに、テレビ中心的で、視線の演出をしないと、扉の魅力…

蓮實重彦+武満徹『シネマの快楽』

蓮實 白黒映画というのは、その初期から全盛期にかけて、人間の顔をいかに撮りスクリーンに再現するかということに関して、繊細きわまりない確乎たる方法を獲得しえたと思うんです。ところが色彩映画は、顔に関して不毛な試みしか示しえなかった。ゴダールの…

蓮實重彦+武満徹『シネマの快楽』

蓮實 ゴダールの圧倒的な面白さは、いつでも共通語に対する地方語、標準語に対する方言として映画を撮っているという姿勢にあると思うんです。それじゃどこの方言かというと、これが必ずしも明確じゃない。〈ゴダール〉という特定の地方をあらかじめ想定して…

蓮實重彦+武満徹『シネマの快楽』

武満 それは必ずしも観衆だけではなくて、素晴らしい監督というのはつねに視る監督ですね。いつもぼくは言葉が整理されないままに言ってしまうんだけれど、撮る監督はいるけれど、視る監督はほんとに少ないと思うんですね。だから、撮る監督でもぼくらはそれ…