マルクス『経済学批判』(武田隆夫・遠藤湘吉・大内力・加藤俊彦 訳)

貨幣が世界貨幣に発展するように、商品所有者はコスモポリタンに発展する。人間同志のあいだのコスモポリタン的関連は、もともと、ただかれらの商品所有者としての関連にすぎない。商品はそれ自身、宗教的、政治的、国民的、言語的なすべての障壁を超越している。商品の一般的な言葉は価格であり、その共通の本質は貨幣である。しかし世界貨幣が国内鋳貨に対立して発展するのにつれて、商品所有者のコスモポリティズムは、人類の素材転換をさまたげている伝来の宗教的、国民的、およびそのほかの偏見に対立する実践理性の信仰として発展する。