白樂天「病中多雨、寒食に逢ふ(びゃうちゅうたう、かんしょくにあふ;病中多雨逢寒食)」(抄) (田中克己)

薄暮 何人か觱篥を吹き
新晴 幾處か鞦韆を縛す。
綵繩 芳樹 長へに舊のごときも
ただこれ年年 少年を換ふ。


はくぼ なんぴとかひちりきをふき
しんせい いくしょかしうせんをばくす。
さいじょう はうじゅ とこしなへにもとのごときも
ただこれねんねん せうねんをかふ。


薄暮何人吹觱篥
新晴幾處縛鞦韆
綵繩芳樹長如舊
唯是年年換少年


夕がた誰がヒチリキを吹いているのか
ひさしぶりの晴天にブランコがほうぼうにかけられた。
色うつくしいブランコの繩と花咲く木とはいつも同じだが
年々わかいものは顔ぶれがかわっているぞ。