白樂天「府西の池(ふせいのいけ;府西池)」(全) (田中克己)

柳 氣力なくして枝まづ動き
池に波の文あり冰ことごとく開く。
今日 知らず誰か計會せる
春風 春水 一時に來る。


やなぎ きりょくなくしてえだまづうごき
いけになみのもんありこほりことごとくひらく。
こんにち しらずたれかけいくゎいせる
しゅんぷう しゅんすゐ いちじにきたる。



柳無氣力枝先動
池有波文冰盡開
今日不知誰計會
春風春水一時來


やなぎの枝はなよなよと風に吹かれ
池の氷はみなとけてさざなみを立てる。
今日のことは誰が計画したことだろう
春風と春水とが時を一にしてやって来るようにと。