白樂天「松齋に自ら題す(しょうさいにみづからだいす;松齋自題)」(抄) (田中克己)

形骸 順動に委ね、
方寸 空虚に付す。
これを持してもって日を過せば
自然にして晏如多し。
昏昏また默默、
智にあらずまた愚にあらず。


けいがい じゅんどうにゆだね、
はうすん くうきょにふす。
これをぢしてもってひをすごせば
しぜんにしてあんじょおおし。
こんこんまたもくもく、
ちにあらずまたぐにあらず。


形骸委順動
方寸付空虚
持此將過日
自然多晏如
昏昏復默默
非智亦非愚


体を天然の理にしたがって動かし、心はいつも空虚にしておく。
この主義で毎日をおくり、自然と安らかなものだ。
うすぼんやりし、また黙りこくっている。利口でもなければばかでもない。