今西祐行「一つの花」

「この子は、一生、みんなちょうだい。山ほどちょうだいといって、りょう手をだすことを、しらずにすごすかもしれないね。一つだけのいも、一つだけのにぎりめし、一つだけのかぼちゃのにつけ……。みんな、一つだけ。一つだけのよろこびさ。いや、よろこびなんて、一つだって、もらえないかもしれないんだね。いったい、大きくなって、どんな子にそだつだろう」