2013-05-26から1日間の記事一覧

坂口安吾『悪妻論』

悲しみ、苦しみは人生の花だ。

林羅山『春鑑抄』

をもしろき事もなひに笑ふは、人をへつらふに似たぞ。 *面白くもないことで笑ったりするのは、人にへつらう気持ちがあるからだ、の意。

夏目漱石『虞美人草』

人を見て妄(みだ)りに笑うものは必ず人に求むる所のある証拠である。 *「求むる」は、報酬や利益を求める、の意。

トーマス・マン「幻滅」(実吉捷郎 訳)

「――私だって、こういう私だって、やっぱり一時は、自分に対しても他人に対しても、幸福な振りをしようと思って、そういう人間どもと一緒になって、噓をつこうと試みたものだった。しかしそんな虚栄心は、もうずっと前に打砕けてしまった。そして私は孤独な…

トーマス・マン「幻滅」(実吉捷郎 訳)

「生れてはじめて海というものを眺めた日のことを、私はよく思い出します。海は大きい。海は広い。私の視線は、岸から沖のほうへさまよって行って、解放せられることを望んだのです。しかるに、その先には水平線がありました。なぜ水平線なんというものがあ…

トーマス・マン「幻滅」(実吉捷郎 訳)

「御心配には及びません。私は私のいろんな幻滅を、一々こまかくお聞かせしはしませんから。ただこれだけ申し上げればたくさんなのです。それは、私が人生に対する大げさな期待を、因果にも一生懸命になって様々な書物で――詩人たちの作物で養ったということ…

トーマス・マン「幻滅」(実吉捷郎 訳)

「人生というものは、私にとってはまったくのところ、いろんなぎょうさんな言葉から成り立っていました。なにしろ、そういう言葉が心中に呼び起す、あの絶大な茫漠たる予感をのけたら、私は人生についてなにひとつ知っていなかったのですからね。私は、人間…