2015-07-20から1日間の記事一覧

伊藤俊樹「カウンセラーの感情体験・感情表出」(澤田瑞也、𠮷田圭吾 編『キーワードで学ぶカウンセリング――面接のツボ――』所収)

土居は、面接者の「わからない」という感覚が、クライエント理解にはとても大切だと述べている。「なぜなら、『わからない、不思議だ、ここには何かあるにちがいない』という感覚は、理解力のない人には生じないからである(中略)。逆に、あまりにも簡単に…

高森淳一「沈黙」(澤田瑞也、𠮷田圭吾 編『キーワードで学ぶカウンセリング――面接のツボ――』所収)

沈黙の伝える意味はそれを受けとる側との関係性に委ねられているために、不確実性を余儀なくされる。しかし、だからこそ沈黙のうちには、ありとあらゆる意味を潜ませることが可能である。なぜならば、関係性の求めている意味が沈黙の意味をも決定し、関係性…

高森淳一「沈黙」(澤田瑞也、𠮷田圭吾 編『キーワードで学ぶカウンセリング――面接のツボ――』所収)

沈黙が生じるのはそこにかかわる人間が二人以上いる場合に限られる。ひとりでいるときに黙っているのを普通はわざわざ沈黙と呼ばない。逆にいえば沈黙が生じるのは、他者からの期待、関係の中での役割といったものが前提にされているときである。そして、こ…

竹内健児「助言」(澤田瑞也、𠮷田圭吾 編『キーワードで学ぶカウンセリング――面接のツボ――』所収)

しかし、カウンセラーは助言できないから助言しないだけではない。助言しないのは、助言することがカウンセリングの倫理に反するからである。

竹内健児「助言」(澤田瑞也、𠮷田圭吾 編『キーワードで学ぶカウンセリング――面接のツボ――』所収)

クライエントは自分がどうしていけばよいか、なぜそうなっているのかについて「無知」であるし、カウンセラーもまたクライエントがなぜそうなっており、どうしていけばよいのかについて「無知」である。カウンセリングは、二人が「無知」という入り口に立つ…

伊藤俊樹「傾聴」(澤田瑞也、𠮷田圭吾 編『キーワードで学ぶカウンセリング――面接のツボ――』所収)

傾聴するということは、ただ漠然とクライエントの話を聞いていることではない。それをひとつのたとえ話で説明してみよう。あなたはある湖に来ている。湖の表面を見つめていると、ときどき魚がはねるのが見える。「あ、あそこで魚がはねた。」そして、今度は…

伊藤俊樹「傾聴」(澤田瑞也、𠮷田圭吾 編『キーワードで学ぶカウンセリング――面接のツボ――』所収)

初心者のカウンセラーにはよくあることだが、クライエントが自分自身に否定的になったときに、クライエントをフォローしようと思って「でも、そんなことはないよ」と、言ってしまうのである。しかし、そこでフォローせずに聴いていくと、たとえば自分の父親…