2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

スタンダール『恋愛論』(前川堅市 訳)

私は、一つの真理をしるしたと思う時、一つの溜息を書きつけたにすぎないのではないかと思って、いつも心配だ。

ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

では昔のようにさようなら。

ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

しかし幸福は人を寛大にするものです。

ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

自分はかつて戦うような必要には出会わなかったと言い切れる人が、いったいこの世にございましょうか。

ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

拒絶したのは疑ったのではなくてはにかみです。

ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

言葉一つの違いで文句全体の意味が変わることがあります。同じ言葉が二様の意味を持つこともあります……

ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

私の決断の速さはご承知のとおりです。それは、女の秘密をあばくものは、たいていむかしの関係であることを看破したからです。

ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

彼は世辞でたらし、愚弄によって人を恐れさせるのです。人は彼を尊敬するのでなく、彼にへつらうのです。勇敢というよりはむしろ用心深いために、彼にたてつくよりは触らぬ神にたたりなしと考えているような社会の中で、彼はまずざっとそういう生活を送って…

ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

人間と申すものは、善悪いずれにも徹することはできません。悪人にも美徳はあり、善人にも弱点はあります。善人に対しても悪人に対しても、寛容の徳が必要なのは、まったくこの真理に基づくので、これが善人を慢心から守り、悪人を絶望から救ってくれるので…

ラクロ『危険な関係』(伊吹武彦 訳)

よろしいですかセシルさま、恋に報いるのに友情をもってするのは、不義理を恐れるのではなくて、不義理に見えることを恐れるにすぎません。

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(澁澤龍彦 訳)

「いずれあたしの一代記を書く人がいたら、その人は自分の本に『悪徳の栄え』という題をつけたらいいんじゃないかしら?」

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(澁澤龍彦 訳)

「いちばん安心できると思ったときこそ、もっとも警戒を要するときなのよ……」

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(澁澤龍彦 訳)

「人間たちをだましましょう。それこそ彼らに対する最大のサービスだわ……」

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(澁澤龍彦 訳)

悪人が善人を苦しめているという、こうした悲惨な場面をいつまでも眺めているのが、罪を行う身にとってはこの上ない楽しみなのです。

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(澁澤龍彦 訳)

「この気紛れというやつが、どうしてなかなか馬鹿にならないものでな」

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(澁澤龍彦 訳)

言っても詮ないことでしたが、子供の時分から、趣味や習慣によって悪徳を愛して来た人でなければ、とても堕落した行為の絶えざる実行のうちに、大きな幸福を確実につかむことはむずかしいのです。美徳の退屈な道しか歩んだことのない人は、かかる幸福にけっ…

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(澁澤龍彦 訳)

「感受性とはね、あらゆる美徳の根源であるように、あらゆる悪徳の根源でもあるのよ」

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』(澁澤龍彦 訳)

「罪の後悔なんぞする必要はない、それより、しなければならないのは美徳の後悔だよ」

レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』(清水俊二 訳)

「男って、みんな、くだらない動物なのね」と、彼女はいった。「だいたい、世の中がくだらないんだけど」 「金があれば、ちがうだろう」 「お金がないと、誰でもそう思うわ。でも、お金ができると、新しい苦労が生まれるのよ」彼女は謎のような微笑をもらし…

レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』(清水俊二 訳)

「それをわしに返してくれないか」と、彼は微笑を浮べながらいった。死刑を執行するものが絞首刑の準備のために囚人に会いに来たときのような微笑だった。親愛と憐憫と警戒とを感じさせる微笑だった。まだ、生きていられるのだったら、しりぞけることのでき…

レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』(清水俊二 訳)

世間にはまだ、優しい人間がいる。朝刊にざっと目をとおして、映画館で隣りの席の男のすねを蹴っとばし、いやな気持になって、政治家を憎んでも、それでも、世間には優しい人間がいる。 ※太字は出典では傍点

レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』(清水俊二 訳)

「彼らは稀少だ――ダイヤモンドのように、そして、ダイヤモンドのように、ときどき汚ないところで発見される」

レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』(清水俊二 訳)

その机の向うがわで、若い女が私に微笑を送った。触れれば煙となって消えてしまいそうな、無理につくった微笑だった。

レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』(清水俊二 訳)

「たしかに、あの女のスカートを脱がせるのはわけはないでしょうけれど、でも、一つだけ、あなたが覚えておかなければならないことがあるわ。あなたは、舞台に登場するのが遅かったのよ」

レイモンド・チャンドラー『プレイバック』(清水俊二 訳)

「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」

レイモンド・チャンドラー『プレイバック』(清水俊二 訳)

私はコーヒーをすすった。熱すぎるだけで、そのほかは申し分のないコーヒーだった。

レイモンド・チャンドラー『プレイバック』(清水俊二 訳)

表情を二種類持っているのだった――冷たい表情とさらに冷たい表情だった。

レイモンド・チャンドラー『プレイバック』(清水俊二 訳)

神経がいらいらしている人間はみんなそうだ。いままでまったく無口だったのに、次の瞬間にはとめどなくしゃべりまくるのだ。

レイモンド・チャンドラー『プレイバック』(清水俊二 訳)

「わかったわ」と、彼女はいった。「そんなこと、どうでもいいのよ」 「それは君がいってるんじゃない。睡眠薬がいってるんだ」

レイモンド・チャンドラー『プレイバック』(清水俊二 訳)

「銃では何も解決できない」と、私はいった。「くだらない第二幕を急いで幕にするぐらいのもんだ」