2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧
人間の制度に大きな変化が起こるときには、必ずその変化の原因の一つに相続法が見出される。
白状するが、私は出版の自由に対して、その本性上このうえなく良きものに対して人がいだく、全幅でためらいなき愛を覚えるものではない。私がそれを愛するのは、それが生む益のためというよりは、それが妨げる禍(わざわい)を考えるからである。
私はアメリカの中にアメリカを超えるものを見たことを認める。そこにデモクラシーそれ自体の姿、その傾向と性質、その偏見と情熱の形態を求めたのである。私はデモクラシーを知りたかった。少なくともそれに何を期待すべきか、何を恐れるべきかを知るために。
権力の行使や服従の習性が人を堕落させるのではない。正当と認められない力が揮(ふる)われ、不当に地位を得た抑圧的な権力に服従するとき、はじめて頽廃が生ずる。
……とはいうものの、病的になったり、思い出して悲しみにくれたりしないでも、人生には悲しいものがあるということを告白しなければなりません。それがなんであるかは申しあげることはむずかしいのです。私は、病気とか、貧乏とか、死とかいう誰でもが知って…
「天国にだって月曜日はあるかしら?」とボビイは子供っぽくきいた。 「天国は月曜日の連続さ!」とデニスはつぶやいた。
ローラは首をふった――しかし、泣いていた。 ローリーは妹の肩に腕をまわして「泣くんじゃないよ。」と暖かく、やさしい声でいった。「こわかったのかい?」 「いいえ。」とローラはすすり泣きながらいった。「ただ不思議なの。でもお兄さん……」と彼女はいっ…
幸福……幸福……「総てよし」とこの眠っている顔はかたっているのである。こうあるべきなのだ……心残りはない……と。
こうして、このすばらしい午後は、ゆるやかに花が開き、ゆるやかに色があせ、ゆるやかに花が閉じた。
しかし、人間というものはどこへでも行かなければならない、なんでも見なければいけない――そう考えて、彼らは通り抜けるのであった。
その夕方、スウィング・ドアを押し抜け、三段の幅広いステップを舗道のほうへおりながら、ニーヴ老は生まれてはじめて、自分はもう春を楽しむには年をとり過ぎていると感じた。
彼の声はあんまり、あんまり優し過ぎる。
「帽子を脱ぐって?」 「そうなのです――君の髪なのです。君の髪をはっきり見ることができたら、どんなにいいだろう……」
――臆病というものはあることをさせないこともあるが、またあることを余儀なくさせることもある――
嘘をつけない瞬間こそ、まさしく、一番嘘をつく、とりわけ自分自身に嘘をつく時間なのだ。《嘘をつくことのできない瞬間の》女性を信ずることは、けちんぼの贋の気前のよさを信ずるようなものだ。
結局、僕は事がはっきりしてくるのを見るのがこわかったのだ。
僕たちは黙っていた。僕はそこに幸福のしるしを見ていた。
これでやっと、真っ裸な彼女をこの胸の中に抱くことができるのだ。いかなる邪魔ものもこの二つの肉体を引離しはしないであろう。これでやっと、あのあまりにも広い海ではなくて、部屋の壁が水平線となるのだ。
われわれはいつも、到底理屈に合いっこない心の動きに理屈をつけたがるものである。
少し……大いに……熱烈に……全然まるで。
恐らくわれわれもなおわれわれ自身の仕事に対して「余りに善良」なのであろう。恐らくわれわれも、いかにその侮蔑者であることを自負していようとも、やはりこの道徳化された時代趣味の犠牲であり、餌食であり、患者なのであろう。――恐らくそれはまたわれわ…
疑いもなく、病気であることは為めになる。健康であることよりも更に一層為めになる。病気にする者が今日では医者だの「救い主」なんかより一層必要であるようにさえ思われる。疑いもなく、われわれは今やわれわれ自身に暴虐を加えている。われわれは魂の胡…
(女が光彩を放つためには是非とも一つの目的、一人の男を必要とする――すなわち戯曲を!)
――しかし私は何を述べ立てているのか。もう沢山だ! もう沢山だ! ここでは、私には沈黙するというただ一つのことだけがふさわしい。
しかしこれとともに、最も大きな、最も危険な病気が持ち込まれ、今日まで人類はそれに取り憑かれている。すなわち、人間が人間に、つまり自分に苦しんでいるのだ。 ※太字は出典では傍点
その反面において、良心の上に「良心の疚しさ」の発明を有する者は一体誰であるか。諸君のすでに察知している通り、それは――《反感》をもった人だ!
苦しむのを見ることは快適である。苦しませることは更に一層快適である――これは一つの冷酷な命題だ。しかも一つの古い、力強い、人間的な、余りに人間的な根本命題だ。のみならず、恐らくすでに猿すらもこの命題を是認するであろう。というのは、猿は種々の…
繰り返して問うが、いかにして苦しみは「負い目」の補償となりうるのであるか。苦しませることが最高度の快感を与えるからであり、被害者が損失ならびに損失に伴なう不快を帳消しにするほどの異常な満足感を味わうからである。苦しませること、――それは一つ…
何が今日「人間」に対するわれわれの嫌悪を起こさせるのか。――疑いもなく、われわれは人間に苦しんでいるのだからだ。――それは恐怖ではない。むしろ、われわれがもはや人間について恐るべき何物をももたないということ、「人間」という蛆虫が眼の前で蠢いて…
――そのためには、諸君は殆んど牛にならなければならない。そしていずれにしても「近代人」であってはならない。その一つの事というのは――反芻することだ…… ※太字は出典では傍点